食を学び、楽しみ、家族を幸せへ導きたい

Mothers' Earth Spotlight vol.5

安木知沙さん

 

兵庫県出身。高校時代は陸上一色で、全国高校駅伝3位入賞を果たしました。その陸上生活の中で栄養の大切さを知り管理栄養士過程に進学、卒業。病院、事業所給食で栄養指導や調理、献立作成などの経験を積みました。

20172月からシンガポールで4歳と2歳の娘を育てながら駐在しています。長女の離乳食や食習慣でたくさん悩み、次女の出産の時に改めて勉強しようと思ったのが離乳食。また、自分自身の経験から幼いころからの食習慣が大人になっても大切であることを改めて実感し、子育て中のママとして育児や離乳食に悩むママと赤ちゃんの心と笑顔を育む力になりたいと思って、活動しています。


 

● 知沙さんが、食ついて学ぼうと思ったきっかけや背景は何ですか?

 

最初に食に興味を持ったのは高校で陸上の長距離をやっていた時です。県で強い学校に入部し、2年生で父の仕事の都合で転校し、さらに強い学校にいきました。その時、痩せたら早く走れると単純に思っていて、早く走りたい一心で食事を減らしました。しかし、体重は陸上をはじめた当初より10キロ痩せたのにタイムは落ち、怪我も増え、その時に改めて見直してみようと思ったのが食でした。その結果、3キロを9分代で走れるくらいのベストを出すことができました。

この経験から、食の大切さを感じ大学にて栄養学を学び、管理栄養士の資格を取って卒業しました。しかし、栄養士の資格をとり企業の社員食堂にて働いていましたが、ほとんどの食べ物が冷凍で揚げればいいだけ、混ぜればいいだけなのが現実でした。カロリーの計算をして献立を立てていましたが、数字だけでいいのかも何だか自分の中で違和感がありました。でも、それに対して食に関しての知識を深めようとはその時は思っていませんでした。

 

●食を学び、生活を変えていきたいと思ったきっかけは何でしたか?

 

長女が離乳食を食べなかったので、次女が生まれた時に「長女のように離乳食を食べてくれなかったら悲しい」と思ったことがきっかけで、食事の根本を見直そうと離乳食の勉強をはじめました。次女を妊娠した時は、まだまだ食について勉強する余裕もなく、長女の機嫌の悪さや泣き続けることがつらくて、罪悪感もありながら市販のおやつをあげて、その場をやり過ごすことが多かったです。勉強をしていく中で、赤ちゃんが母乳以外で初めて口にするものが離乳食であり、食べ物で味覚だけではなく、いろんな五感が形成されるのだということがわかってきました。「食べるもので子どもの体は育つ」んだとハッとして、成分がわからないようものをあげるのは嫌だと思うようになりました。

子供には大人になってから病気になってほしくないし、母親が家族の健康を作っていくものだと思い、もっと勉強し続けたい、たくさんの人に知ってほしいなと思いから、離乳食の講師もするようになりました。

 

 

● 食について学んだ前後で、心や生活の変化はありましたか?

 

買い物の際、商品のパッケージやキャッチコピーに惑わされずに、裏の成分表示を見て買うようになりました。市販の離乳食も「何か月から」という表示を鵜呑みにしなくなりました。加工品や市販のお菓子ではなく、自分で手作りしたりカットフルーツをあげたりするようになりました。すべて手作りをすることはできないですが「できることを、できる範囲でやろう」と思うだけで心が楽になりました。

学んだことで、過去の自分に対して「あの時、〜をあげちゃっていた、やっちゃった・・・」と後悔することもあります。でも、知っているのと知らないのでは違いは大きいです。知らなければ“これ”しかない選択肢も、学んだことで「自分で出来ることを考え、まずはやってみる」ということができます。そうしてみて、どちらがいいか選ぶことができるようになり、心が楽になりました。

 

● 普通に考えると、市販のおやつを買う方が作るよりも楽だと思うのですが、知沙さんの生活で具体的に何が楽になりましたか?

 

例えば、普通のレシピでおやつを作ると大量の砂糖が入ります。目でみて「こんなに大量を砂糖が入っているんだ」とわかると、どれだけ市販のものに砂糖がたくさん入っているかに気づくことができます。そういうところから、砂糖の量、種類についても学ぶ必要性に気づき、知識がついてきました。また、手作りすることで大量の砂糖を入れなくてもおいしく作れるんだ、と楽しくなってきました。そしておやつをあげる罪悪感が減り、気持ちが楽になっていきました。

 

● 砂糖以外に、生活に取り入れていることはありますか?

 

調味料は総入れ替えしました!それがどうやってできているのかを学んだら「こんなものは入れなくていい」と思い、「自分で作れるかも」と思えるようになりました。味噌は買うのが当たり前だったけれど、作れると知って作るようになりました。だしの素は使わなくなったし、コンソメ、中華味などもほぼ使わなくなり、なるべく使わないように調理をするようになりました。海外で暮らすからこそ余計にものが手に入らないおかげで、素材に気を付けて手作りするようになり、より知識とスキルがついた気がします。

 

 

● 食について学ぶことで、子供に健康な体をプレゼントしているという母親としての自信になり、ハッピーになるということですね。

 

私自身も、自分が考えて選んで作ったものを食べていると、「〜を食べちゃった・・・」というような罪悪感を感じなくなったように思います。さらに母としての自信もつきました。

長女の場合は幼いころから、市販のものを多くあげていましたが、学んだあと徐々に手作りにシフトしていきました。時間はかかったけれど、手作りを食べてくれるようになったことがうれしいです。長女も私も、お互いに変わることができた気がします。

 

● 現在している離乳食の講師のお仕事について、どういう背景で仕事をするに至ったのですか?

 

栄養士の資格は持っていましたが、改めて食について体系的に学んだことで、大切なことは沢山あるのだと知りました。離乳食は面倒と思うこともあると思うし、食べない子を相手にするのはつらい時間です。自分の離乳食に悩んだ経験をシェアすることで、同じように悩むお母さん、周りの手助けになりたいと思いました。子供がいながらでも少しでも社会に貢献したいという思いもあって、離乳食について伝えさせてもらうようになりました。

 

●「同じように悩むお母さんを助けたい」というのがエネルギー源なのでしょうか?

 

はい。気持ちを楽にできるお手伝いができたらなと思っています。離乳食を始める前に知っておいたほうがいいことは沢山あります。私自身、砂糖や調味料の取り方や選び方など、先に知っていればできたことはあったのでは?と思うので、その経験を伝えたいと思っています。ただし、私がやっていることや言っていることが全てではありません。私も学んでいる途中ですし、離乳食に対する考え方も色々あるので、何を選択するかはそれぞれのお母さんが決めることだと思っています。でも何かを悩んだときに、寄り添える存在でありたいです。

 

 

● 知沙さんは、どんな女性になりたいと思っていますか?

 

自分の気持ち、選択をしっかり周りに言える自分でいたいです。自分の子供、家族を守るのは自分自身だから、向き合っていきたいです。

現時点では、自分の意見をハッキリといえる説得力や自信がまだありません。例えば、周りで別のお母さんたちが子どもたちに、大人と同じようなお菓子をあげているとき、「自分の子はあげていない」とはっきり言えずに「どう思われるかな・・・」ということを気にしていまい、そっと避けるようにしています。それはそれでもいいのかもしれないけど、将来にむけて軸をしっかり持っていきたいと思っています。

 

● 人生の中で一番大事にしているものはなんですか?

 

自分が楽しく生きることです。できることはチャンスがあるならやりたいし、やらずに後悔するのは嫌だなと思っています。それは食事に対しても、子供に対しても同じで、子供とも遊んで“あげてる”のはなくて、自分も楽しむ。食を学ぶことも楽しみたいと思っています。

なぜかは上手に伝えられないですが、食は食べるだけがすべてではなく、コミュニケーションの一つでもあります。子供にも食事が楽しいと思ってほしいし、作れなかったものが作れるようになったり、うれしさややりがいが増えると自信になります。そういうことを今は楽しめていると思います。

 

● 知沙さんにとってのマザーズアースコミュニティとは、どんな場所ですか?

 

日本だったら、食についてホメオパシー・予防医学など、学びたいと思ったときに色んな場所があります。でもシンガポールで、こういうことが学べる場所があるとは思いませんでした。学びたいと思っていたので、学べる場所があるというのはとても嬉しいし心強いです!!

 

もしそういう場がなかったら、以前の自分のように流されて戻ってしまう可能性もあったかもしれません。でもマザーズアースには自分と似たように食を通じて家族の幸せをつくりたいという考え方の人がいます。だからこそ、何かあれば相談できるし、具体的にアクションに移しやすいです。そして菜穂子さんのレポートを読むことで、学びなおすこと、違う視点から学ぶことも多く刺激をもらえています。

 

ありがとうございました!