母と息子が教えてくれたこと。「心と体は食で繋がっている」

Mothers' Earth Spotlight vol.12

岡宏美さん 

 

埼玉県出身。NPO法人日本食育協会認定 上級食育指導士。

食育に携わっていた母親の影響で、幼少期から食に興味を持っていた宏美さんは、結婚を機に会社を退社、食に関する勉強を始め、食育指導士、上級食育指導士の資格を取得しました。

その後、企業のブログメディアにて食育ライターを担当。出産を経て、20162017年の1年間をシンガポールで暮らしました。

 

現在は日本へ帰国し、2歳の男児の子育てをしながら、手作り味噌の会、手作りソーセージの会、常備菜作りの会、時短料理教室など、親子で参加できる様々な食育ワークショップを主催。

自分の健康を自分で守れる子供を育てるために、プレママ世代、子育て世代を中心に、広く食の大切さを伝えながら、「食べ方は生き方」をコンセプトに、食から人生を輝かせていくライフスタイルを提案しています。


 

● はじめに、なぜ食を学ぼうと思ったのか教えてください。

 

始まりは小学生の頃からです。自主的にというより母の影響が大きくて、日頃から、母の食に対する姿勢から学ぶことが多くありました。また「人体の不思議」という漫画が家にあって、当時、家にはそれしか漫画がなかったので内容がどうであれとても読み込みました。今思えば、この漫画が食への学びと興味の始まりでした。

食について自主的に学び始めたのは27歳の頃なのですが、食の大切さが身にしみて分かったのは、大学生の頃、独り暮らしをはじめて体調を崩したことがきっかけでした。
大学生になって初めて親元を離れて自活するようになって、最初は張り切ったものの、だんだんと面倒になって自炊をやめて、10キロくらい太ってしまったのです。今まで健康だけが取り柄だったのに、体調も悪くなって、精神的に鬱のような状態になりました。誰にも会いたくなかったし、大学の課題もすべてが「できない」と感じてしまい、ずっと家に閉じこもっていました。その時は体調よりも鬱になったことのほうがショックでしたね。結局、友達のおかげで気持ちは晴れていきましたが、その時にどうしてこんな風になってしまったのだろうと考えました。

「親元を離れて寂しい」という気持ちはそこまで強くなかったので、直感的に、原因は食べ物のせいだと思ったのです。直感的にそう思ったのは、母に「心と体は食べ物で作られるのよ」とずっと教えてもらっていたからだと思います。その時は本当にろくなものを食べてなかったから…。この経験から食べ物がダメだと身体だけでなく、心もダメになるのだとわかって、「食」ってやっぱり大事なのだと再認識しました。

 

● それから痩せようと思ったのですね。

 

はい。でも一気に減量しても戻ってしまうので、健康的に痩せようと思い、そこから何年もかけて元の体重に戻していきました。そうするとリバウンドもないし、昔から悩まされていた冷え性も改善されて、体が良くなっていくのが体感できました。精神的にも安定してきて、「あ~、心と体はやっぱり繋がっている!」と思いました。一度、底辺まで落ちてそこから上がってきたからこそ自分の体を通して深く納得することができたのだと思います。

さらに決定打になったのは、妊娠・出産の経験です。この経験で学んだことがあったから、私は学んだことを自分だけに留めるのではなく、伝えていきたいと思ったのです。

子供を妊娠した時、すでに食の大切さは分かっていたので「これは私のやり方次第できっとすごい子が生まれてくるに違いない!逆に食に気をつかわなかったら不健康な子を産んでしまうかもしれない…」と思いました。そのため、妊娠中はいつも以上に食と生活を見直して、ストイックに実践しました。

 

● 実際にご出産されてどうでしたか?

 

赤ちゃんって「赤いから赤ちゃん」というそうなのですが、最近は白ちゃん、青ちゃんという血色が悪い赤ちゃんもいるそうです。でも私の息子は真っ赤で生まれてきてくれて、生まれた後もむやみに泣かない穏やかな子でした。それからも、子育てで大変な事はもちろんありますが、思っていたより大変ではなくて。それは妊娠中に食と生活を見直して、頑張ったからだなぁって思っています。

 

「食が人の体と心を作っている」ということを、息子を通してありありと実感できました。

 

 

● 上級食育指導士の資格を取得した背景を教えてください。

 

食によってダメになった経験と食を立て直すことで良くなった経験から、食の大切さを実感したことが、資格取得の大きな理由ですが、食育の活動を本気でやっていこう!と強く思った理由はやはり出産の経験です。

出産の経験で、何より私が良かったと思っているのは、妊娠前から食の大切さに気づいたことで、妊娠中にそれを実践できたことです。多くの方は妊娠したら、あるいは出産したら食を意識し始めることが多いと思いますが、妊娠前から食を通して自分の体を作ることが大切だと感じました。

なぜなら、今日食べたものがすぐ明日に反映されるわけではないからです。丈夫で健康な子を産むためには、全身の細胞、血液を妊娠前から整えないといけないと思っています。そのことを若い人にもっと伝えたい。丈夫な子供を産んで子育てをもっと楽にしてほしい!そんな思いから、プレママや子育てママを中心にした今の食育活動に繋がっています。

 

● 先ほどお話にあった独り暮らしをされていた時と今を比べて、心や生活に変化はありますか?

 

もう全く別物すぎて変化というレベルじゃないです(笑)食の大切さに気付き、自分で決めてしっかり実践し始めてからは体も心も全然違います。冷え性もなくなりましたし、精神的にも自分のことをちゃんと認めてあげられるし、新しいことに挑戦する意欲もみなぎってます!どんなことがあっても自分の体と心にはリカバリーする力、そして戦う力があると信じられるようになりました。

 

食を立て直す時に何が大変でしたか?

 

「大変」と思ってしまったらもうできなくなるので、いきなり全部は変えませんでした。大切なのはしっかりと「習慣」にすることなので。

例えば、はじめは外食をやめて、ご飯を炊いてレトルトのおかずと食べる。次にレトルトをやめて、おかずを自分で作る。品数を増やしていくとかお味噌汁を足してみる。調理法も簡単なもので無理のない範囲で変えていきました。

ここまでやったら大変、と思いそうならいったん止める、立ち止まる。挫折しないように、自分を追い込まないように、できるレベルで徐々に取組んでいきました。そのおかげか大変とは思いませんでした。また、人によって許容量は違うと思うので、他の人の意見はあまり聞かないように気を付けていましたね。

今でもメディアの情報は参考にはしますが、鵜呑みにはしません。そんな風に思えるのも知識が増えたからだと思います。例えば、一時メディアで「脳のエネルギー源は糖分だから砂糖をとることは良い」という話が広まったことがありました。その糖分は確かに必要です。でも砂糖じゃなくてもいい。お米からも糖分を取ることができるし、本当はそれで十分。学んだおかげで自分で判断ができることが増えたので、メディアの情報に踊らされなくなりました。

「世の中の情報は一つの側面だけの場合がある」と知っておくことも大切だと思います。何より大切なのは食事のバランスと分かっていれば「◯◯が体にいい」と聞いても、それだけに頼らず選択肢の一つとして参考にしよう、と捉えることができると思います。

 

 

● 実際の子育てで、食からの影響を感じるのはどんなことですか?

 

食に気を付けているからこそ、息子は風邪をひいても悪化しない、精神的にも穏やかである、ということはあると思います。

ただ、今の2歳の時期は息子に「食べることが楽しい」と思ってもらえるように気をつけているということの方が比重が大きいですね。食卓では叱らないとか、一緒に楽しんで食事をするといったことで「食べることって楽しいんだ!」と思ってもらえるように努力しています。また、いろいろなものを食べられるようになって欲しいと思っているので、離乳食の段階では食べやすさに気をつけました。そのおかげか嫌いなものはあまりありません。食事は楽しいと思ってくれているので食卓であまり遊ぶことなく集中して食べてくれます。私もとても楽なので、頑張ってよかったと思っています。

 

● 息子さんの食事作りでこだわっていることを具体的に教えてください。

 

まずは手作りであること。そして調味料は本物を使うことです。離乳食においても次の段階に上がるタイミングをしっかり見極めるよう気をつけていました。息子が食べやすく、なじむように細かく段階を踏みました。砂糖も基本は使いません。あとは炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラル分をバランス良くとれるように意識しています。炭水化物の基本はお米で、パン・麺類はできるだけ少な目にしています。小麦粉除去ではなく「少な目」です。こだわることは多いですが、一番大事なのは自分自身が楽しめることなので、自分が追い詰められない範囲で取り組んでいます。なので、日々の食事は気をつけていますが、「これもダメ、あれもダメ」とこだわりすぎたり固執しすぎないようにしています。例えば、私がさつまいもを蒸すことができないくらい具合が悪かったら市販のおやつをあげると思います。それは自分がハッピーでいるためなので、私の中で「あり」だと思っています。ただし、そういった例外以外は自宅では市販のおやつはあげずに、特別な時に食べるもの、としています。

 

 

● マザーズアースコミュニティで学び始めて変化はありましたか?

 

食についての視点が増えました。自分だけで勉強していると偏りが出てきますが、マザーズアースコミュニティで講師や参加者の話を聞くと、視点や発想の違いを知ることができます。自分と違う意見を聞くことで、より深い学びの場になっています。また、食以外の面で自然派の生活をやり切れていない部分があることに気づかされたのですが、このコミュニティでは自分が気持ちいい形でエコや自然派を実践している人たちがいるので、たくさんのヒントを得ることができます。こんなに楽な形で自然派を実践している人がいるんだ!というのは私にとってはじめての出会いです。

 

● 自然派は「大変」というイメージがあったのですか?

 

食以外の自然派の暮らしに関しては、楽しんで取組んでいるイメージがありませんでした。インターネットなどで「石鹸シャンプー」を調べると、挫折してしまった話がたくさん出てくるので難しいのかなって思っていました。でも、マザーズアースには生の声がたくさんありました。まさかシンガポールでこんな出会いがあるとは!本当に驚きです。

 

● マザーズアースコミュニティについてどう思っていますか?

 

シンガポールで食や自然派の生き方を学んで実践している人がこんなにいるとは思いませんでした。そして私が日本でやりたいと思っていることとドンピシャなコミュニティ。みんなが、押しつけがましくなくて、それぞれが気持ちいい形でできることを実践して、いい影響を与え合えているな、と感じます。マザーズアースには「正解」はなくて、それぞれにこだわっていること、興味があることなどはみんなバラバラです。でも、それらを認め合い、参考にし合うということが居心地のいい場所だなと思っています。日本でもこんな場所があるといいですね。

● 最後に、人として、女性として、母としてどうありたいですか?

 

周りの人をハッピーにできる人でいたいです。自分自身、運がいいと思っているのですが「運がよくなりたかったら、運がいい人と一緒にいるべきだ」という話を聞いたことがあります。それで、いつもハッピーで前向きでいる人と付き合いたい、お友達になりたいと思っていて、だから運がいいのかなって思うこともあります。周りの人からも「宏美ちゃんといると元気になれる、前向きになれる、運が良くなってきた」と言ってもらえるような、人にいい影響を与えられるパワースポットのような人になりたいです。 

 

● 素晴らしいお話、ありがとうございました!